Prolog
ネット上の最古の情報では2004年6月13日に四谷フォーバレーでライブでの記録がある。幸いなことにセットリストが残っている。
Lough Life
- Over The Rainbow
- 恋
- ラヴメール
- ハツコイ
- 6月17日
これらの曲の一部は後にレコーディングされた。福山沙織は最初から福山沙織だったのだ。
やりたいことをやり続けていたデビュー以降
大切なもの
“Lough Life”解散後、2006年春頃から「ひまわり畑ライブ」など活動のペースをアップ。年末には「織」名義にてファーストミニアルバム「大切なもの」を発表した。
「大切なもの」はシンプルなバンドサウンドである。ベースとドラムの演奏が全体的には躍動感が失わせているように感じる。ライブでよく演奏される”A Happy Song”は顕著である。セカンド・ラインを採用するのであれば、ブラスを追加して派手にするなど工夫の余地があったのではないか。全体的にアレンジも練り込まれてない気がする。
そんな感じを受けてしまうのは、この作品が2006年発表であることを忘れているからだ。いまの福山沙織の音やライブを一旦忘れて、再度聴いてみよう。1970年代アメリカのシンガーソングライター風なアルバムに聞こえてくる。ダイナミックレンジが広く、上品なライブハウスでの音が聞こえてくる。録音はおそらくアナログである。暖かみのある音だ。思い切ってアンプのボリュームを上げてみよう。その音場には「大切なもの」が持つ大きな力が間違いなく存在する。
バンドサウンドなので彼女が公言しているアーティストからの影響はない。ファーストアルバムにありがちな勢いだけではなく今後の目標が定まっている良いアルバムである。
2007年1月14日には初ワンマンライブを実施。残っている画像では満員御礼である。その勢いのまま3月には「大切なもの」は全国で流通される。
失恋SONGS
2007年の夏頃セカンドCD「失恋SONGS」を発表。前作とは違うキーボード主体のアレンジとなり、一気にファンク度が増した。クラビネットが前面にでた”失恋Song”やディスコ色の強い”今だけは。”などある。基本はポップなメロディーに失恋がきっかけの歌詞がのるという、ネガティブな言葉とポジティブな音が相反する音楽だ。そのなかでも”失恋Song”の構成が凄い。自主制作であることと2013年頃に売り切れたため、非常に入手が困難となっている。本人の失恋が基となっているからなのかライブで演奏されない曲が多い。
同時期に「PATIO 3つのstory」にORY名義で1曲を提供、3曲でボーカルで参加した。提供した”太陽の街”はAORなアレンジで、メロディーと歌詞とぴったりである。演奏がかなり良く気持ちよく歌っている姿が想像できる。
精力的な活動
2年後の2009年、今の活動に通じるアニメソングのカバーでアルバムに参加する。またゲーム関連でtatsh music circleから発売されている東方project アレンジアルバムの「FAR EAST OF EAST」シリーズに2010年から2015年までボーカルで参加している。
引き続き、ライブ活動に加え下記の様にネットを中心に発信し始める。
- 「だだしゃべりUstream」(詳細不明)
- 「福山沙織がだだしゃべるラジオCD」(ライブ来場者へのお土産。確認できたものでVol.10まで)
- 「おりのしゃべBLO!」(2011年7月12日~2014年9月26日 Vol283 現時点で確認出来た最後の回)
- 「おりロイドプロデュースどうでしょう?!」(2011年10月15日~2011年11月26日 vol.4まで)
- Weekly Wednesday Live at Serendipity Bar(2010年9月8日~2011月7月28日毎週水曜日)
- グラビア撮影(不定期)
とくに2011年の活動は特筆すべきだ。上記に加えて多彩な作品を発表している。
- FAR EAST OF EAST V – 1曲ボーカルで参加
- FAR EAST OF EAST VI – 2曲ボーカルで参加
- 太鼓の達人ポータブルDX – 1曲ボーカルで参加
- 「ふわ(o・v・o)CD」”告白”をピアノ弾き語りで提供(2011年8月28日)
- オリジナルCD ORi 発表
- オリジナルCD ORi2 発表
個人的に一回目の絶頂期はこの時である。本人もワーカーズハイっぽかったのではないか。あふれ出る感情を作曲・作詩・歌唱に詰め込んでいたことを作品から感じとられる。
マブルスカイ
2010年「マブルスカイ」のタイトルでCDも発表。ジャケットが表すように非常にカラフルな音が詰まっている。録音状態が良くないため全体的にチープに感じてしまう。とても大きな音では聴けないだろう。だからといって、このCDに詰められた珠玉の曲たちの価値が下がるわけではない。音質は集中力でまかなえる。
“Over The Rainbow”ではゲート・リバーブが効いたドラムとイントロのローズピアノが特徴のアップテンポで少し跳ねているポップス。福山沙織のフェイクがたっぷりと聴ける。このアルバムくらいから少しキーが上がっている。少々使い古いされた言葉選びが憎い。PVも作られ、いまでも体表曲の1つである”ひまわりの空”。彼女なりのDreams Come Trueのオマージュだろう。最後の曲が”エンドロール”というのも粋である。
ファンの中でも人気の1枚であることがよくわかる良いアルバムだ。
ORi
初のセルフタイトルCDだ。自信作であろうことが容易に想像できる。セルフタイトルに負けないほど圧倒的な質の良さである。多くの曲が今でもライブで演奏される。とくに東日本大震災について歌った”希望の花”は涙なしでは聴くことが出来ない。2011年9月発表なので、曲を作った後すぐに収録したいという気持ちが伝わってくる。
なんと言っても全曲が福山沙織のピアノ弾き語りである。福山沙織の歌とピアノを存分に堪能出来る。アレンジ、ボーカル、曲、歌詞全てにおいてそれまでは発表された作品を凌駕している。
管理人としては彼女の作品で最高傑作だと思っている。
ORi2
「ORi」発売後3ヶ月で発表されたセルフタイトルの2タイトル目。レコーディング時期は不明だが「ORi」と2枚組と考えて良い内容である。派手なホーンで始まる”キミにバズーカ!”やクリスマスソングの”僕はサンタクロース”のようにシンセでキラキラした音作りとなっている。
欲を言えば「ORi」と同様のボリュームであれば、アルバムとしても「ORi」「ORi2」のダブルタイトルとしても完成度が上がったと思う。
アニソンシンガーへの目標変更、それに伴う試行錯誤の連続
それまでもゲーム音楽に携わってはいた。それに追加してアイドルイベントやアニメソングイベントに参加が多くなる。エポックメイキングとなったのは2012年7月13日、14日に行われた「~アニソン夏ライブPART2、PART3~」だ。
ここから試行錯誤が続く。本人はイベントに参加する意義も目的もあったのだろう。もちろんそれまでとは違う世界にむけて目標を変えたのだから、活動のやり直しである。がむしゃらに動き続ける反動で、体調を崩すことも多かったようだ。
ざっと挙げてみても多種多様である。
- アイドルイベント多数参加
- HEART PANIC
- ヘビーメタルバンド参加
- コスプレDVD
- 発売されたが、写真は載らず?
- 天下一音楽会のファイナリストとしてZepp Tokyoでステージ
- 48時間生放送
- プロマイド発売
- ニコニコ生放送「カケルのガーリートーク」
- パチンコ店でのキャンペーンガール
- ニコニコ動画
- ありーな(歌い手)として作品発表
活動の活発さに相反して音源の発表は少なくなった。2012~2014年にかけては「ORi3」とtatsh music circleの「Winter System」1曲参加のみである。そのような状態で2013年9月頃「失恋SONGS」「 マブルスカイ」がSold outとなった。
ORi3
たった2曲である。2曲ともテーマはとても暗鬱だ。”呼吸”にいたってはメロディーらしいメロディーはない。単純なフレーズの繰り返しである。この試行錯誤の時期を象徴する歌に聞こえてならない。発売当初にファンはこの曲をどの様な思いを感じて聴いたのだろうか。後追いのファンでもショックを受けた曲である。
2014年から2015年
前年の試行錯誤から一転、飛躍のための準備期間の2014年となった。
「東京シェアハウスガール」に選ばれたことにより”Wing Hope”がオリジナルMVとして発表さる。企業に採用または発表された初めての楽曲である。そのプレッシャーに負けずに福山沙織らしい前向きな歌詞、親しみやすいメロディーの佳曲だ。
同時にオリジナル曲中心に歌うライブも月に一度ほどのペースで実施していた。2015年3月頃に「ORi」「ORi2」がSold Outとなる。
それとは違うフィールド。つまりアニメソングシンガーとしての道も着々と準備が進んでいく。現在も続いているイベント「Anime Music El Dorado」の11回目のオープニングアクトとして登場。その後もVol.16まで参加することとなる。Vol.12ではのちに「芸人」と呼ばれるほど素晴らしい歌唱を披露する”Rising Hope”が初披露されている。
この時期に大きな出会いがあった。2015年2月8日四谷mebiusでのライブで後にYURiCAとしてデビューする小林友里花との出会いである。その後も交流は続いていく。
アニメソングフィールドではカウントするのも難しく、想像出来ないほど多数のイベントに参加している。
その2つのフィールドを見事に融合した平成最高の名曲”逆境REVOLUTiON!”が2014年9月6日のライブで披露された。どれだけ2014年が充実していたかを表している。
数え切れないほどのライブを実施し、”逆境REVOLUTiON!”を発表した自信をもって「DivA Effect Project」の公開オーディションに望む。2014年11月からはじまり2015年1月までの長丁場のオーディションにインターネット投票、審査員投票にの2枠で1位を獲得。その実力が名実ともに認められた瞬間の1つであった。このプロジェクトで多くのイベントやライブを実施し、2015年6月に発売されたCDはオリコンチャート12位を記録した。
同時期に2枚のCDが発表された。「アキバズトリップ」ED曲として”Plecious Sky ~僕でいられる場所~(vocal Arrange Ver.)”。そして「逆境Revolution!」である。
逆境Revolution!
たった2曲であるが「ORi3」とは全く意味が違う。現状をどうにかして打破しようという福山沙織自身の気持ちを聴き手自身も持っているであろう同じ気持ちとして共感できるように昇華した2つの名曲である。
個人的に”あ”あ”あ”あ”あ”!!”の歌詞にとてつもなく惹かれている。大滝詠一の”君は天然色”の”想い出はモノクローム 色を点(つ)けてくれ“のテーマと同じく過去と現在、未来への希望を表現している。
“セピアと言えば綺麗な過去はもう戻れないからイイんじゃない?!”
タイトル曲も名曲であるが”あ”あ”あ”あ”あ”!!”も負けていない。
終わりと始まり
2015年6月にありーな(歌い手)としての活動を終了した。「DivA Effect Project」のオーディションに通ったことにより、当然の終了だったであろう。その代わりに自主イベントである「月刊福山沙織」の開始である。2015年11月22日から2017年10月11日まで創刊号から22号、別冊とロングランのイベントとなった。その後2018年2月12日からは「季刊福山沙織」となり2019年2月10に「季刊福山沙織最終号」で終了となる。その「最終号」にYURiCAが参加した。
毎月イベントを主催するというハードワーク。それに加えて自身のライブ、レコーディングを実施する活発な活動。福山沙織の第2のそして今も続く絶頂期にむかう2015年であった。
長く続く絶頂期の始まり
2016年のころからトレードマークとなるインナーカラーが金色となる。真似をしたのは弊サイトの管理人くらいだろう。
ここで大きな賭にでる。初めてのクラウドファンディング「福山沙織 ”アストロホールワンマン記念アルバム” 作成プロジェクト」である。目標の80万円を大きく超えて約210万円の支援を得られた。そのためCD作成のほかストレッチゴールの全てを実施した。
アシアトriot
全12曲。2002年作の曲、このアルバムのために書き下ろされた曲が含まれたこのアルバムに捨て曲は無い。
初めて聴いたときは随分と音が散らかったアルバムだな、という印象だった。クレジットが少ないので想像でしかないのだが、曲ごとに編曲者やレコーディングスタジオが異なっているのが原因だろう。それをマスタリングで統一させている。プロデューサーも複数人だったのかもしれない。
クラウドファンディングのストレッチゴールで2曲追加されたこともアルバムとしての統一感を無くしている。
そんなことを吹っ飛ばすくらいそれぞれの曲の出来は良い。再度繰り返す。このアルバムに捨て曲は無い。
2016年までに福山沙織が貯め込んできた「力」を注ぎ込んだ真のファーストアルバムなのだ。曲数は多ければ多いほど良いのだ。2010年代にアルバムに統一感なんて求める人なんていない。努力して、ガマンして、悔しさで泣いて、立ち直り続けてきたのだ。10年以上歌い続けてきた人がこれだけフレッシュなアルバムを作る事が出来るのか。
いつのライブもCDをいつ聴いても、どれもがフレッシュな気分で接する事が出来る。それが一番大きな福山沙織の魅力である。
彼女の存在を知って1年くらい経った後に直接話す機会があった。
私「これほど長く活動をしているとは知りませんでした。自分の知らない活動期間があるのがとても悔しいです。」
福山沙織「それ以上のモノをこれから作ります。」
即答だった。それからその回答に裏切られたことは一度も無い。
二回目のクラウドファンディングに至るまで
2016年から2017年にかけて書き切れないほどのプロジェクトに参加している。その中で特筆すべきものは「声珈琲」という朗読劇の主題歌を3曲提供したことだ。会場限定販売なのが惜しい。それぞれが朗読劇のテーマに従って作られた楽曲にもかかわらず「福山沙織」の個性が発揮されているのだ。
もう一つ大きなトピックがアニメ「ROBOMASTERS THE ANIMATED SERIES」のエンディングテーマの歌・作詞を担当したことだ。さらにサウンドトラックCDに自作の曲が1曲収録されている。アニメソングシンガーとしての一歩を踏み出したのだ。エンディングテーマの”Higher Maker”はゴリゴリのシンセベースで始まるEDMだった。ボーカルにエフェクトをかけられたのも初めてであろう。にもかかわらず個性を失わない歌唱力の強さも彼女の大きな魅力である。
活動のフィールドが徐々に大きくなってきている。次の目標は更に大きな会場でのライブである。その場所は鶯谷にある東京キネマ倶楽部である。個人的に初めて福山沙織のライブに参加したときである。
?!?!
ろっ、路上ライブで今日CD買ってくれた方が…
クラウドファンディングに参加してくれた!!!😳😳😳😳😳😳😳😳😳うひゃあ!!
うれしい!うれしい!!— 福山沙織💎YouTubeCh「ドライフラワー」配信中! (@oryhime) July 11, 2018
このときほど自分の審美眼を信じて良かったと感じたことは無かった。
当然のようにクラウドファンディングは成功して、2018年9月16日に東京キネマ倶楽部でライブが実施された。初めて見に行ったアーティストのライブで涙を流すほど感情を揺さぶられるとは思っていなかった。先に述べたようにいつでも誰でも新鮮な気持ちでライブを見ることが出来る。過去の福山沙織を知らなくても楽しめる。その瞬間の福山沙織を楽しめる。大きな大きな魅力であり、努力の結果得ることが出来た才能である。
このライブで大きな発表があった。声優事務所に所属して声優も目指すということである。
アニメソングを歌うには声優になることが大きなアドバンテージになる。本人はとてもとても判断に迷い、悩んだと思われる。いままでを知っているファンにとってもその決断は不安を覚えるものだろう。その決断は2019年以降の活動に大きく影響を及ぼした。
神巫詞プロジェクト
2019年に福山沙織が携わる3回目のクラウドファンディングとして「【神巫詞-KAMIUTA-】アニメ化ファーストサポーター募集!」が始まった。当初はアニメの中で登場するバンドでのボーカルとして発表されていた。しかしアニメである。声優を目指すと明言した直後のプロジェクトである。アニメ化が実現したら主人公として声優デビューは夢ではないだろう。
その夢は予定されている神巫詞として2回目のクラウドファンディングでドラマCD作成を目指すことで発表された。
これ以降のストーリーは是非ともリアルタイムで共有して欲しい。
Paul McCartneyは個人で受賞したグラミーの特別功労賞のスピーチでこのように言った。
「僕が抱いてきた夢をファンの皆と共有できたことを誇らしく思う。ありがとう」
私は思う。
「福山沙織が抱いている夢はファンの夢でもある。そしてその夢は共有するだけではない。必ず実現する目標である。その先は福山沙織の思うがままである。」